Cluster Tech Blogの編集を担当しているFUKUDAです。
2023年7月24日(月)に行われた「はてなブログ DevBlog Meetup #1」に参加してきたので、そこで聞いたお話を今後のCluster Tech Blogの運営にも活かせればと思い、備忘録としてまとめてみようと思います。
イベントの詳細は下記
イベントの様子は #HatenaDevBlog からご覧いただけるようです。
- はじめに|Cluster Tech Blogの運営は絶賛模索中……
- テーマ1:ブログの目的
- テーマ2:運用のコツ(執筆者へのインセンティブ設計、継続の仕組み…)
- テーマ3:企業による技術ブログの価値
- 各社の取り組みが垣間見えるLT
- 終わりに
はじめに|Cluster Tech Blogの運営は絶賛模索中……
最初にCluster Tech Blogの現状について書いておこうと思います。
「メタバースプラットフォーム」を開発するスタートアップであるクラスターは、2022年1月にtech blogを開始しました。
当初はnoteを利用して、CTOとエンジニアリングマネージャーを中心にして運営していましたが、2023年4月のはてなブログへの移管に伴い、社内で別の発信業務に従事していたFUKUDAが編集担当となり、CTO、エンジニアリングマネージャーと運用を続けています。
FUKUDAは、雑誌編集やwebメディアの運営の経験はありましたが、tech blogの運用ははじめてです。また、エンジニア出身というわけでもなく技術について明るいわけではないので……どのような発信を行っていくかは絶賛模索中です。
(もしクラスターのtech blogでの発信に興味のある方は、SNSなどで「こんな記事を読んでみたい!」と言ってもらえれば、実現するかも……?)
そんなわけで、今回のイベントではtech blogの先達のさまざまなお話を聞けるということで嬉々として足を運びました。
ここからはイベント内のトークディスカッションで話された内容をサマリーしつつ、このtech blogはどうしていくか少しメモ書きしていこうかなと思います。
ちなみにトークディスカッションに登壇された方は下記でした(イベントページより引用)
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 イノベーションセンター 小倉 真人氏
2014年10月にNTTグループ他社から現職に異動。 クラウド基盤系OSSの調査・検証やOpenStack のコミュニティ活動業務を経て、2020年12月より社内のエンジニアが働きやすい環境を整えるプロジェクトを立ち上げ活動中。
NTT Communications Engineers' Blog弁護士ドットコム株式会社 税理士ドットコム事業部 開発チーム 小宮山 太樹氏
2018年4月に弁護士ドットコムに入社し、弁護士ドットコムや税理士ドットコムの開発に携わる。2022年にCreator's Blogの立ち上げを行う。
弁護士ドットコム株式会社 Creators’ blog株式会社ユーザベース NewsPicks 執行役員 CPO/CTO 文字 拓郎氏
シンプレクスにて、大手銀行や証券会社向けプロジェクトの開発責任者を歴任。 デリバティブトレーディングシステム、リスク管理システムなど、さまざまな大規模プロジェクトのアーキテクチャ設計を担う。NewsPicks入社後は、一般ユーザー向けのプロダクト開発リーダー、新規事業の立ち上げなどを経て、2020年2月に執行役員VP of Product Development、2021年1月よりCPOに就任。2022年1月からCTOを兼務。
Tech Blog - Uzabase for Engineers/Twitter:@Uzabase_Tech
テーマ1:ブログの目的
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エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 イノベーションセンター 小倉 真人氏
- 2015年からCMSを使って発信をしていたが、2020年くらいからはてなブログを使っていくようになった
- 理由はCMSを使っていると、中のレビューなど管理が大変だったことから。
- 目的について
- 最終的には採用に繋がれば良いと思っているが、まずは「自分達が何をしているか」を発信したいのが第一目的。
- 会社の規模的に、事業が多岐に渡っているので、学生からソフトウェア開発をやっていることすら知ってもらえていないという状況があった。だからこそ、まず何をやっているかを知ってもらうことが重要だと考えた。
- 会社としてはプレスリリースを出すことはあっても、そこには技術的な内容が書けなかったりするので、そこでtech blogが一つの発信先になる。
- tech blogを始めてから
- お客さんからtech blogを見て「話を聞かせてほしい」という問い合わせもある。
- 社外だけではなく社内向けの発信にも繋がっている。
- 自社の営業がtech blogを見て問い合わせしてくるというパターンがある。社内向けを意識していたわけではなかったが、回り回って自分達がやっていることを社内にも伝える場になっている。
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弁護士ドットコム株式会社 税理士ドットコム事業部 開発チーム 小宮山 太樹氏
- かつては社内に技術ブログが4つくらいあって、記事を書きたいと思ってもどの媒体で書けばいいのか分からない、という状況があった。それを解消するものとして2021年からはてなブログに統一して、運用するようになった。
- 目的について
- 第一に発信強化。社内の情報を発信していくことで、社員の能力開発やカジュアル面談の認知度向上など、さまざまな面での認知度を上げていくことを目的としている。
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株式会社ユーザベース NewsPicks 執行役員 CPO/CTO 文字 拓郎氏
- かつては、海外カンファレンスにエンジニアを派遣してレポート書く等も行っていたが、記事は読まれるけど長く続かないことが分かったり、試行錯誤をして今の形になったのが2021年辺り。
- 目的について
- 最終的に採用に繋げることは意識しているが、最初はどうすればいいのか分からないまま始めた。
- インナーブランディングを意識している。
- 背伸びをして書いても実態がないので響かないと考えている。今やっていることをちゃんと伝えていくのが重要。
- 発信の内容で触れることは基本的にはNewsPicksに関連することで、レガシーな技術も多くなるので、それをどう発信したら魅力が伝わるか。自分達がやっていることは地道なエンジニアリングなので、発信することで他のメンバーも感化されて、同じように発信するようになる。ここ数年の運用でそうしたサイクルが生まれてきたことを感じている。
みなさんきっちり最初から目的を定めて、運用をしているのかな…と戦々恐々でしたが、意外と最初は模索からはじめて、続けていく中で手応えを感じてくるようになったという印象を得ました。
継続は力なりですね……
clusterのtech blogの最初に公開されたエンジニアリングマネージャーのxyxさんの記事では、
すごく面白いことをやってるのに、知られてないのはもったいない!
ということで、clusterの開発風景をより広く知ってもらうため、tech blogを始めることにしました。
と書かれています。つまり、Cluster Tech Blogは、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社さんと同じように「clusterではどんな開発が行われているか」を社外にお伝えする目的で運営されています。
「メタバース」というキーワード自体はかつてに比べて世の中に知られるようになりましたが、実際そこにどんな技術が使われているのかはまだまだ知られていないのではないでしょうか(メタバースの定義自体が曖昧で、さまざまなプロダクトが一緒くたに語られているというのも影響しているでしょうが……)
clusterも、対応機種がスマホ・PC・PCVR・Quest2と多種に渡り、またWebサイトもあります。
過去の記事で「メタバースは技術の総合格闘技」と綴られているように、全貌が掴めないくらい、さまざまな技術が結集したプラットフォームと言えると思います。
なので、まずは、Cluster Tech Blogはそこの見通しを少しでも良くするために運営を行い、その結果、色々なエンジニアの方に興味を持ってもらえる入り口にしていきたいですね。
テーマ2:運用のコツ(執筆者へのインセンティブ設計、継続の仕組み…)
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エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 イノベーションセンター 小倉 真人氏
- 記事ができるまでの仕組み
- 有志の運営メンバーが10人くらいいる。
- 記事は全部GitHubで管理しており、GitHubに記事を投稿すると、はてなブログに下書き状態で投稿される。
- レビューはGitHubを使って行っている。レビュアーはランダムに選び、技術的に専門ではない場合は他のスタッフにお願いする等の仕組み。
- レビューは、書いた人の個性がそのまま出るように意識して、そこまで厳しくやってない。
- レビューが終了すると、マージして公開。
- インセンティブ設計
- 基本は書く人のモチベーションに依存しているが、tech blogの存在は副社長レベルで認知しているので、業務時間内で書いていいということになっているし、お墨付きはもらっている。
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弁護士ドットコム株式会社 税理士ドットコム事業部 開発チーム 小宮山 太樹氏
- 始めることより続けることの方が大変だと感じている。
- 記事のネタが偏ってしまうので、みんなで発信していく文化をいかにつくっていくかが大切だと感じている。
- tech blog用のスタンプをつくって、そのスタンプを押すと、tech blog委員会に通知が来て、そこから記事執筆のアプローチをしていく仕組みを用意している。
- 編集会議で翌月発信する記事を相談して、そこから委員会内の各マネージャーに執筆をお願いしたい人に声をかけてもらう仕組みで運用している。
- 最近はMVP制度をつくっていて、みんなで表彰する仕組みをつくっている。
- レビューはGitLabを使って行っているが、そこまで厳しくレビューはしない。
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株式会社ユーザベース NewsPicks 執行役員 CPO/CTO 文字 拓郎氏
- 採用広報・技術情報発信を盛り上げるチームが有志で運営している。
- 最初は思いがある人が立ち上げた。月1本からはじまって、声掛けベースで続けていくと、「書きたいです」と手を上げてくれる人が増えていった。
- 実態をちゃんと伝えていくことが重要。エンジニアは「こんなの発信していいのか」と思いがちだが、そういうものでも良いと伝える。
- 運営チームからお願いに行くこともあるが、その際にお願いができる関係性ができているのが重要だと考えている。
- レビューはほぼしていない
- 機密情報が含まれていない限り問題ないことになっている。
- はてなブログ上で下書きしてもらって、一応チェックする感じ。
- 「tech blogを書いたから評価される」はなく、あまりインセンティブが強くない中で運用しているので、なるべく気楽に書ける環境をつくっている。
- 公開されたらSlackでしっかり盛り上げは行っている。今後は盛り上げの機会をもっとつくっても良いかなと考えている。
強くインセンティブを用意しているわけではない、という点が共通しているのが興味深かったです。
おそらくインセンティブを用意しすぎてしまうと、それが目的で記事を書くようになってしまい、結果として記事の質が担保されないという面もあるのではないかと思いました。
記事を書く時に重要なのは「その内容について書いてみたい」という気持ちで、そういう気持ちを持った方が書いた記事は須く面白いと決まっています。
その気持ちを持った人を、いかにスムーズに執筆に繋げサポートしていくか、というところが継続して記事を出していくことのコツなのではないかと感じました(もちろん書いた後にモチベーションを上げてもらうための仕組みは必要そうです。そして、そのためには地道な活動が重要ですね)。
Cluster Tech Blogでも、編集担当とエンジニアリングマネージャー、さまざまな部署からのゲストを迎え月1で「記事のネタ出し会」というものを行っています(まだ安定して行えていませんが……)
編集担当である私が、普段は開発に接していないので、そこで情報収集すると共に、記事を書きたいと思っている人がいれば共有してもらう場になっています。最近出た記事は、そこからアプローチ・執筆がはじまった記事もいくつかあります。こうした活動を定着するようにしていくことがまず第一に取り組むことですね。
また、「TECH BLOG」というSlackのスタンプを用意しており、このスタンプを押すとtech blogのSlackチャンネルに自動的に投稿がシェアされるようになっています。まだそこまで上手く回っていませんが、これも地道に使っていって認知度を上げていければ...!
(クラスター社では「 #クラスター社の日常 」という漫画での発信を行っていて、そちらでも同様のスタンプが用意されています。そうした運用実績があるので、文化としては浸透しているはず…!)
テーマ3:企業による技術ブログの価値
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エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 イノベーションセンター 小倉 真人氏
- 年間で見るとはてブの数を指標としては置いているけど、そこまで細かくは見ていない。ブログの健康状態という意味で、確認している程度。
- インターンで応募してくる人から「ブログ見ました」という声が結構あるので、HRと連携して流入経路としてアンケート項目に含めてもらう、とかはしていきたいなと思っている。
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弁護士ドットコム株式会社 税理士ドットコム事業部 開発チーム 小宮山 太樹氏
- アクセス数。はてブランキングに載るとアクセス数が伸びるので、載ったら盛り上げるなどはしている。
- そこまで数字は細かく見ていなくて、数字が減ってきたらテコ入れするくらい。
- カジュアル面談などで「tech blog見たから応募しました」は増えている。「書籍を使って勉強会しました」記事は出版社から声がかかったりすることもある。
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株式会社ユーザベース NewsPicks 執行役員 CPO/CTO 文字 拓郎氏
- ブログ単体の価値はそこまで見ていない。
- 書くことによって社内のチャレンジが加速した感じはある。
- 「ブログ読みました」と候補者ではない人からも声がかかることも増えてきた。
- 社内では当たり前に思っていることが、他社から見ると面白いと思ってもらえることは発見だった。
どの企業も厳密に数字を追っているわけではないのは、印象的でした。
最初に言ったように、継続してはじめて手応えが出てくる、という感じなのでしょう。そのために、いかに無理なく運用していくかを考えるのが重要なのだと思います。
各社の取り組みが垣間見えるLT
トークディスカッションの後にはLTも開催され、そちらも興味深い内容でした!
資料が公開されているようなので、URLを貼っておきます。
終わりに
Cluster Tech Blogもまだまだ「運用」というレベルではないですが、色々考えていきたいですね。
「clusterの開発」とは少し違うトピックですが、今後も編集担当が学んだことなども時折発信していければと思っています。
clusterの開発だけではなく、こうした技術情報の発信活動にも興味のある方がいればぜひご応募ください!