クラスターでのコンテンツCGチームのアートディレクターとは

こんにちは
クラスター株式会社でアートディレクター(以下、AD)をしているyanagawaです。

この記事では、クラスターでのADはどのような働きをしているか、ADにはどんなスキルが必要かをアバターメイカーやアクセサリーでの事例をもとにお話していきます。

ADのおしごと

ADの仕事は、アートの品質管理、制作物の進行管理、商品計画の3つが主軸となっています。

アートの品質管理

アートの品質管理はADの最も重要な仕事の一つで、CGデザイナーが制作するアバターメイカーの衣装やアクセサリーの3Dデータに対して、見た目に関するディレクションを行います。

クラスターでは複数名のCGデザイナーによって衣装やアイテムが作られています。
複数名で制作する都合上、たとえ同じものを作ってもらった場合でもCGデザイナーの個性によってモデルの作り方やテクスチャの書き方が変わり、出来上がったもののテイストやクオリティが異なってきます。
個人の「作品」であればいくらでも個性が出ていて良いのですが、クラスター社として出す「商品」の場合は物によってクオリティがばらばらだったり、テイストがプラットフォームの世界観に馴染んでいないと格好がつかないので、クオリティラインが揃うように調整する必要があります。

このクオリティラインの調整を行うために3DCGデザイナーに指示を出したり、時に自分の手を動かしてアートの方向性を示すのがADの大きな役割です。

 

進行管理

進行管理とは、(商品)企画担当から依頼された制作物を進行するにあたり、CGデザイナーへのタスクアサインやスケジューリングを行い、リリースするまでの道筋を整備するお仕事です。

タスクアサインを行う際は、CGデザイナーの個性に合わせてタスクを割り振ったり、制作を補助する資料を集めて共有します。
また進捗状況に応じてタスクを再分配したりすることで少しでもスケジュールに余裕が出来るように工夫しています。
万が一、リリースに間に合わないような危機的状況になった場合は、ディレクターやPMと連携して代替案を考えたり、制作物の点数やリリース時期を交渉するのもADの仕事の一つです。

この仕事では、CGデザイナーの適正判断や、指示出しに必要なAD自身の3D制作経験や知識、他部署と連携するためのコミュニケーション能力が重要になります。

 

商品企画

商品企画とは企画担当と連携し、これから作る商品についてどんなものならインパクトがあるか、現実的に制作可能かを精査し、出来る限りディレクターの希望に合うものをアートの視点から提案を行うことで商品の内容を決定していく工程を指します。

ADが商品企画に参加する意義として、制作物を作る上で発生しそうなコストや制作上の問題点を把握できる点にあります。
また、この時点で発生するタスクの物量が社内のCGデザイナー人員だけで賄いきれないと判断した場合はアウトソーシングを検討することもあります。
その際、社外との連絡窓口もADが担当します。
商品企画が確定後は速やかにCGデザイナーに企画内容を共有し、そのまま進行管理の仕事に移行します。

ADは企画担当とCGデザイナーの間に立って情報共有を円滑に行うための役割も担っているため、ここでもコミュニケーション能力が重要になってきます。

 

アバターメイカーでのADのおしごと

さて、では直近で実際にどのような業務を行ってきたか、アバターメイカーを例にお話します。

アバターメイカーでは以下の流れで制作を進めます。

制作の流れ

①企画立案

はじめに、リリース時期の季節やイベントをヒントにして何を制作するのか企画担当やPMと企画をディスカッションします。
「この衣装は通常よりも制作に時間が掛かりそう」「この商品点数であれば間に合いそう」「これはどんな用途で使われるのか」「カラーバリエーションはいくつ必要か」...など、制作するうえで必要な情報を洗い出していきます。

②制作依頼

企画が確定したら、企画内容をもとに企画担当が依頼書を制作し、ADが制作に参考になりそうな画像素材などの資料を集めつつ、リリースまでのスケジュールを組みます。
その後、CGデザイナーに依頼書や参考資料を共有して誰が何を担当するかを決め、各CGデザイナーと制作物の仕様(サイズ感、ロゴの位置 など)の詳細をすり合わせていきます。

③制作開始

実際にCGデザイナーが3Dデータの制作を開始します。

制作中のADのお仕事は
1. モデル
2. UV・テクスチャ・ウェイト
の2段階でデータチェックを行い、アートの品質を管理することです。

1段階目ではモデリングまでのデータを提出してもらい、まずはモデルの形状のみを確認します。
サイズ感に違和感がないか、依頼書で指定した要素が再現されているか、他衣装と組み合わせた際にめり込みが発生していないか、など、モデルの段階
でクリアしておくべき事項を重点的に確認します。

また、アバターメイカーでは基本的にシワやボタンなどのディテールも可能な限り立体化しようと努力してますが、制限の都合でどうしても全てを立体化しきれない事も少なくないため、その場合はディテールの重要度を考慮して立体化する・テクスチャで表現するの判断もこの段階で行っています。

これらの項目がクリアされていれば、企画担当にも確認を依頼し、OKなら次の工程に進めます。

2段階目ではUV展開やテクスチャ、ウェイト調整まで行った完成想定のデータを確認します。
素材がきちんと表現されているか、光や陰影の描き方に嘘っぽさはないか、腕を降ろしたときにめり込みや突き抜けがないか、などを確認します。

こちらもAD視点で問題なければ、再び企画担当にも静止画で共有し、希望通りになっているか確認を行います。

④QA

制作したデータを開発環境へアップロードし、問題点の洗い出しをQAチームに行ってもらいます。
そうして出てきた問題点に対してPMと相談しながら優先度付けし、大きく品質を損なうような最優先の問題から順にCGデザイナーに修正対応してもらいます。

⑤リリース

ここまでのすべての工程を経てようやくリリースすることができます。

リリースは毎月10日と25日の通称「#アバターの日」と呼ばれる日に行います。以下は先日リリースしたマフラーです。

これは宣伝ですが、アバターの日はcluster上で新しくリリースした衣装にちなんだイベントを行っています。毎回楽しい企画で盛り上がっているので、是非参加してみてください!

まとめ

ADのお仕事は、制作物の添削や資料作成などCGデザイナーに対するマネジメントに意識が向かいがちですが、それだけでなく企画担当とCGデザイナーの「橋渡し」や、状況を俯瞰して観察し問題が起きそうなことがあれば事前に備え、問題が起きる前に対処することが重要な働きだと考えます。

そのため、ADは制作の知識や円滑にプロジェクトを進めるためのコミュニケーション能力や調整能力などのビジネススキルが必要になります。

その他にも日頃からトレンドなファッションにもアンテナを張っておくことでユーザーの需要に応えられるような商品を提案出来るようにもなり活躍の幅が広がるので、日頃から精進していきたいですね。

さいごに

いかがだったでしょうか。
まだまだ世間では聞きなれないメタバース業界ですが、ADやCGデザイナーの業務内容はゲーム業界とあまり変わらないと思います。

クラスターは現在採用を加速しているので、
ゲーム業界しか経験したことがないけどメタバースにも興味があるというADやキャラモデラー、背景モデラーなど3D制作の知見のある方のご応募をお待ちしております!